都市計画が規制緩和とともに進められてきたというと、聞こえはいいが、
この規制緩和は実は容積率を中心とした緩和にすぎない。
地元の声をないがしろにして、
建設業をはじめとする産業界の利益のために、
ひたすら国土を食いものにしてきたことが、
この本を読むとよく分かる。
また戦後経済の中で、列島改造論やバブルなどが、
どう位置づけられるものかも分かりやすい。
国から都道府県を通じて。市町村におりてくる通達の意味を知らない
自治体職員の方は、いらっしゃらないと思うが、
「やさしいまちづくり条例」なるものが、真に住民のためになるためには、
一人ひとりが、税金の使われ方を考えていかなくてはいけないことを
思い知らされた。
私たちは利権の構図を本当に超えていけるのだろうかと心配になってくるが、
現実を見つめ、足元を確認するのにはよい本だ。
五十嵐 敬喜, 小川 明雄 / 岩波書店(1993/08)