月9に「東京タワー」という話を聞いたとき、
いくらベストセラーのドラマ化とはいえ、なんか勘違いしているのではないかと感じた。
いくら何でも、これまでのトレンディー路線と違いすぎる。
強いて言えば、速水もこみちが主役というところだけが、日の名残である。
私は原作を読んでいないが、初めの頃、展開のあまりの速さに雑な感じがした。
しかしそれは、母が東京に出てきてからの話がメインになるがゆえであった。
テーマはありきたりではあるが「家族の再生」なのだ。
そのことに思い至らず、主演の速水もこみちは視聴率が取れないとか、
そういうところばかり、あげつらうのは非常に寂しい。
確かに倍賞美津子の安定した演技と比べたら、
速水でなければならない理由などないに等しい。
なのだが、彼のしゃべる福岡弁の嫌味のなさは、他では得がたいものである。
九州男児の、ある種いやらしさがない分、
全国的に受け入れられやすい「九州出身者像」と言える。
現実にいそうでいないから、ドラマとして成立するのだ。
香椎由宇がメイクのせいか、生身の女の子に見えたのも初めてのことだ。
なかなかいい。
こちらも実家の母との間に確執がある。
一般的に言って、どんなに普通に見える家庭にも、
大なり小なり親と子の問題はあるものだろう。
それが原作ものとはいえ、男女関係より親子関係を選びとったこのドラマの
ある意味「トレンディー」なところである。
石黒賢は思いも寄らぬ魅力的な役どころ。
泉谷しげるのオトンは、当たり前すぎて面白みに欠ける。
ただ、これから最終回に向けて、さすが、と唸らせられる展開になるかもしれない。
どうも視聴率とスポンサーばかりに目を奪われて、
他にない新しさや面白さを追求する姿勢が
テレビ局にはあまり見られないような気がするのだが、
そうではないところをぜひ番組で見せてほしいものだ。
Then and Now:
これがテレビ熊本のモニター公募用に最後に書いた文章。
そのうち書こうとは思っていたのだが、時間が足りず、800字無駄に使っている、と思う。
映画の方は4月公開。電気館の田中支配人は素晴らしい出来だと、
FM791の森永さんの番組で語っていた。
でも、テレビの方もなかなかのもんよ。
誰もほめないと思うからこそ、私は評価したい(少しだけ)。
香椎由宇は、NHK土曜ドラマ「ハゲタカ」の栗山千明と並んで、
今クールの助演女優賞ものだ、個人的趣味だけど。
区別がつきにくいという意見も(笑